2015年12月28日

肥満予防を微生物が担う

肥満の原因の一つとして注目されているのが、身体を覆っている常在菌の乱れ。
もう一つは、なんとあの「ピロリ菌」を排除してしまうこと。
今や先進国では、国レベルで国民の肥満解消に取り組んでいます。なぜなら、肥満が原因で引き起こされる成人病が膨れ上がり国の財政がなり行かなくなっているからなのです。

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▪️肥満の最新の研究とは
細菌が人間の健康にどう影響しているかという研究が急速に進んでいます。
最も興味をそそる分野の1つが肥満です。
肥満率上昇の一因は抗生物質の使用が増えた為、人間が食べ物を効率よくエネルギーに変換する一助になりうる細菌が減っているという事が解ってきました。
この分野は、遺伝子解析技術の飛躍的な進歩により排泄物、唾液などで簡単に細菌を特定したり、その数量を見極められる様になり解明が進んでいます。
また、赤ん坊は細菌を持たずに生まれ、最終的には8000兆の微生物の宿主になります。
成長につれ、微生物は肌、口、鼻、耳、生殖器、消化管、全身の隅々まで住みつきます。
微生物は食べ物を消化したり、侵入してきた細菌を撃退するばかりか、免疫システム、新陳代謝、そして気分までも整えるのに役立つビタミンや化学物質も生成します。
このように細菌叢は人間と共に進化してきました。

▪️健康な常在菌が病気を予防する
逆に、細菌叢の乱れは、肥満、糖尿病、高血圧、異常なコレステロール値、腹部脂肪、がん、動脈硬化など、さまざまな疾病の要因になります。
その上、抗生物質、抗菌石けん、その他の抗菌製品の激増はいくつかの耐性菌を生み出しているばかりか、人間と共に進化してきた細菌を激減させています。
食欲の調整を手助けする種類の細菌が、人間の消化管から消えつつある事が特に懸念されます。

▪️肥満を抑える ピロリ菌の大事な役割
殊にピロリ菌は消化性潰瘍を引き起こす事で悪名高い細菌ですが、食欲を増進させるホルモンのグレリンの調整の手助けもする事、グレリンの働きを抑えるピロリ菌がないと人間は体が発する「食べるのをやめろ」という合図を見逃してしまうという事も解ってきました。
世界的に肥満の子供の数は増加していますが、その一方ピロリ菌を体内に持っている子供の数は減少しています。肥満と微生物のバランスの重要性が注目されると共に、体形をスリムに維持したり、ヒトを助ける数千種類の好ましい微生物の有用性が解明されています。